「お金を盗む」子ども達
家にあるお金を取ってしまう子どもが増えています。
お金を取った理由は「アイドルやアニメのグッズを買いたい」「友達に奢ってあげている」「欲しいゲームがあった」「友達と遊ぶお金が欲しい」等など。現代っ子ならではの理由もあります。
現金を持て行ってしまうものや親のクレジットカードを勝手に使ってしまうなど、その方法はいくつもあり、金額も数千円から10万円以上の事もあります。親としては、信頼してる子どもから裏切られた気持ち、物理的にお金が無くなってしまったショックから泣いてしまう親御さんも多くいます。
こういった状況が発覚すると、「叱る」「叩いて、分からせる」「お小遣いを取り上げる」「日常生活を罰として制限する」などを行う親御さんが多いです。
ただし、難しいのはこれらの事をしても、行動が改善されるとは言い切れないところです。家庭環境や子どもの精神状態、子どもの社会的な立場などが「盗む」行為を誘発していることも多くあります。
昔から人のお金を盗むのは誰でも「いけない事」だということ知っていますが、江戸時代、窃盗は非常に重い罪でした。金額によっては死罪にされるほど。そして、地域社会で生きていく上でも窃盗が見つかれば文字通り死ぬほど叩かれることもありました。なので人のモノを盗むのは命掛けだったのです。その名残りか、叩いて分からせるという伝統(?)がまだ残っています。では「物(お金)を盗んだら死ぬほどの罰を与えればいいのか」と言えばそんな簡単な話ではありません。何故なら、社会的に「強い体罰のような制裁は許されない事」と「子ども側の精神状態に深刻なダメージが起こること」が心配されるからです。
「強い制裁」が法律で禁止されていることは、皆さんも周知されていることと思いますが、まだまだ根強い習慣として残っています。弊社も子どもに対して、体罰を含む強い制裁はお勧めしません。小さい頃の親(大人)からの体罰は、「問題の解決法の一つ」として子どもに学ばせてしまいます。そして、子どもが大きくなってからそれを親に対してやろうとすることも少なくないからです。
では、「お金を盗む」ことを防ぐにはどのように取り組んでいく必要があるのでしょうか。
まずは、「盗む理由を明確にすること」そして、「盗めない環境を整える事」から始めます。環境を整えることで親の便利性が無くなることもありますが、そこは盗むという事故が起こるリスクと引き換えにする必要があります。
次に、盗まずに子どもの欲求をどう解消するか、盗みたい(物を買いたい)という欲求が出た時にそれを代替えする行動を事前に決めておきます。ここで難しいのは『「お金を取りたい」という欲求自体を無かったことにしろ、ゼロにしろ』と迫ることは効果がないという事です。親御さんもかなり感情的になっているので上手くできないことも多いですが、この代替え行為を用意しておくというのがとても大切になります。
子どもの心の成熟とそれまでのしつけ、親子関係、家庭生活、社会生活など多くの条件が重なって子どもの問題行動は発生します。それに対処する親御さんは大変ですが、それもまた子育ての中の一つと考えられます。
「お金を盗む」というのをテーマにお話をしましたが、親子関係はとても近く、客観的な視点が維持できないことも多くあります。そうした時に、第三者が入ることで親の行動、子どもの行動を外から眺め、その意味をお伝えし、親子関係そのものに働きかけていく事が出来ると考えています。