「子どもが暴れてしまう」について

実は、未成年の方でも成人した方でも「家の中で暴れてしまう」という相談が増えています。暴れる原因は様々ですが、暴れる事で家族やご本人がけがをしたり家族関係に大きな亀裂が入ってしまうため、どうにかして状況を改善していきたいところです。

「暴れる」と言っても種類があり、「子どもが暴れる」のと「夫が暴れている」のは別なものと考えます。今回は「子どもが親に対して暴れている」ことについて触れていきます。(夫が暴れることについてはまた別の機会に)

さて、暴れている子どもの年齢は、幅広く小学二年生から30歳、40歳の成人者まで、年齢は圧倒的に男児(男性)が多いですが思春期を切り出すと女児が暴れているケースも多々見受けられます。

小学生くらいだと親も力で抑え込めてしまうのでどうにか家庭の中で、やり過ごそうと判断するご家庭が多い印象です。思春期以降になると体力も背格好も親に近づくため大きなトラブルになることが多く、それこそ家の壁に穴が開いたり家具が壊れたり、ご家族が骨折やけがを負うことも。警察が介入する場合もあり、事は大きくなっていきます。

これが成人の方になると、親が年を取って、子どもが若いためその力の差は圧倒的で、子どもさんは軽く押したつもりでもご両親は大けがをするということもあります。また、ご両親が「暴れる子どもをどうにかしなければ」と考えて刺し違えてしまうという事件も起きているほどです。

さて、暴れる原因は人によって違いますが、そのほとんどは何かしらの理由をもって暴れていると思われます。それは、小学生も成人者も同じです。ただし、その原因を突き止めるのは中々難しく、関係性の近い親が聞いても感情が先に立ってしまい上手く聞き出せないことも多くあります。また、暴れることを鎮静化させるためには数回の働きかけでは難しく、数か月、数年単位の継続的な働き掛けが必要になります。暴れている状況をどれだけの期間続けてきたか、また、ご本人、ご家族の精神状況、生活環境によっても変わってきます。

弊社では6か月単位で支援の見直しを行います。まずは最初の6か月間は、下記の事に取り組んでいきます。

●親子の関係性の確認、生活状況の観察を行う

●親御さんと子どもさん両方の、日常の関わりを変更していく

●段階を踏んで(計画的に)子どもさんの興味関心に基づいて外の世界との接点を増やしていく

上記を取り組んでいくのは本人、家族みなさんの同意を取って行います。また、ご両親にとっては、今までの態度を変更していく事にもなり、心理的な負担の大きい時期となります。その分、乗り越えた後は、安定していくスピードも速くなりますが、ご両親の負担が大きい分、「家族を支える人」が必ず必要になってくる時期でもあります。

ただし、油断できないのがこの6か月は、純粋なる「準備期間」であるという事です。暴力は無くなってもまだ「芽」は残っているで油断をすると再発することも多く、しばらくは気の抜けない時期が続くと考えてよいでしょう。弊社では、支援1年+4年の見守り期間を設けて、一旦鎮静化した暴力が落ち着いてくる経過を見守っていきます。また、ご本人が社会の中で居場所を作りながら、「家族と向き合う時間を作り、関係の修復に取り組めるよう」配慮します。ご家族とご本人の関係性が安定してくるまでご一緒に伴走していく支援スタイルを採用しています。

ご家族は、相談に至るまでに試行錯誤を繰り返していることがほとんどで、それに疲れて「もう子どもなんてどうでもいい、家から出ていってほしい」と言われる方も少なくありません。そうなる前に、関わりを開始し少しでも早く親子関係の回復をお手伝いしたいと願ってやみません。