『コタローは1人暮らし』が泣けるわけ。
『コタローは1人暮らし』というマンガを知っていますか?最近では、ドラマにもなりましたね。
始めて見たのは、2~3年前でしたか。幼稚園児のコタローは事情があって一人暮らしをしています。実際にはあり得ないシチュエーションと思いますが、同じアパートに住む大人たちに支えられ、愛情をそそがれて成長していくお話。
コタローの抱える「事情」が読むうちに段々と分かってくるのですが、児童分野で仕事をする身としては本当に泣けてくる。悲しくて悲しくて泣きたくなるけれど、コタローがお母さんとお父さんが大好きで必死に守ろうとする姿を見ると単純に「かわいそう……」とは言えなくなります。
コタローの事情は、福祉の領域ではそんなに珍しい話ではないので(幼稚園児の一人暮らしはさすがにありえませんが……)とてもリアルに感じました。
実際、近所に住む大人に育てられている子どもたちを何人か支援したこともあります。親はすでにいなかったので、近所の人たちが数年間何となく育てていました。ご飯を食べさせたり、洗濯をしたり、お古ではありますが洋服も成長と共にちゃんと用意されていました。数年間、行政には知られずに育っていたようです。初めて知った時は本当にビックリしましたが「地域が支える力」というのは凄いと感じました。もしかしたら、昔の日本では当たり前の風景だったのかも知れません。
こんな話をすると、「なぜ近所の人がすぐに行政に言わないんだ!」という人もいるかも知れません。でも、子どもたちは近所の人たちから愛情をそそがれ、とてもいい子に育っていました。親がいない寂しさはあったかも知れませんが、寂しくなれば近隣宅でおしゃべりしたり、お菓子をもらったり。悲しいことがあれば慰めてくれたり、しつけをしてくれる人もいて、ひと昔前の地域事情だからこそ成立していた奇跡、と言えるのではないでしょうか。
話がそれましたが、『コタロー1人暮らし』に興味が湧いたら、ぜひ読んでみてくださいね。